■WEBページは会社の顔色 
WEBページのカラーを考える 2
前回は、WEBのレイアウトで企業についての考察を行った。今回はWEBページの色空間を考察してみたい。目的は、企業間あるいは、日本とアメリカ間で使用される色についてなにか差があるか、ということを調べることである。例えば、
- 日本では万年筆のインクには黒がほぼ使用されるが、アメリカなどでは青が使用されることも多い
- 日本で二色刷りでは黒と赤だが、アメリカでは黒と青である
まずは、ごく単純なCIE Lab色空間での考察を行いたい。CIE Lab色空間はCIE(Commission Internationale d'Eclairage= 国際照明委員会 )が1976年に推奨した、色空間であり、XYZ表色系を基礎とするものである。知覚的な色差を考えたいので均等色空間であるLab色空間を選んだ。
 まずは、Lab色空間がどんなものかを以下に示す。これは、適当に書いてみたものなので、正確なものではない。もっとわかりやすいものが
http://www.sikiken.co.jp/col/lsab.htm
にある。
 
| / b*黄色 緑方向←  →a* 赤方向 青 / ↓暗い | 
  それでは、a*b*だけ表示してみる。以下がa*b*色平面である。これも大雑把なイメージ図である。
 
|  →a* | 
 参考までに、RGBからL*a*b*への変換式を挙げておく。
岡野氏のDigital AstronomyGallery ( http://www.asahi-net.or.jp/~RT6K-OKN/ )
から辿れる蒔田剛氏による第2回CCDカンファレンス「CANP'98」の「デジタル画像と色彩理論の基礎」によれば、
X= 0.412391R + 0.357584G + 0.180481B
Y= 0.212639R + 0.715169G + 0.072192B
Z= 0.019331R + 0.119195G + 0.950532B
ここで使用されているのRGB、およびその際の係数はハイビジョンテレビのRGB色空間だそうだ。
X0 = 0.95045 Y0 = 1.0 Z0 = 1.08892
とすれば、
L= 116(Y/Y0)^0.333 -16 ( Y/Y0 > 0.008856 )
a= 500[ (X/X0)^0.333 - (Y/Y0)^0.333 ]
b= 200[ (Y/Y0)^0.333 - (Z/Z0)^0.333 ]
とできるとある。もちろん、ここで使われる係数などは考えるデバイスにより異なるので、これは単なる一例である。
 
それでは、前回に使用した画像についてLab色空間でのヒストグラムを調べてみる。
| L*a*b*の平均値/標準偏差 | L*a*b*の平均値/標準偏差 | |||
| apple |  | L*  201/69.6 a*  128/1.82 b*  127/3.93 |  | L*  228/54.8 a*  128/1.82 b*  126/6.70 | 
| sgi |  | L*  228/49.2 a*  128/5.20 b*  129/8.49 |  | L*  223/55.3 a*  129/8.46 b*  129.10.4 | 
| Kodak |  | L*  37.8/49.9 a*  133/9.14 b*  138/17.0 |  | L*  194/76.4 a*  132/14.1 b*  132/14.1 | 
| Canon |  | L*  163/77.6 a*  131/16.2 b*  112/21.5 |  | L*  207.52.8 a*  130/8.56 b*  127/11.2 | 
| FUJIFILM |  | L*  159/77.1 a*  112/25.5 b*  145/25.8 |  | L*  190/79.2 a*  129/6.18 b*  121/14.6 | 
| Xerox |  | L*  191/80.1 a*  140/25.7 b*  147/17.8 |  | L*  219/38.9 a*  132/12.7 b*  128/14.5 | 
| RICOH |  | L*  228/44.1 a*  129/8.81 b*  128/10.0 |  | L*  289/51.6 a*  132/10.2 b*  127/10.2 | 
ここらへんまで、作業をしてくると、今回のやり方は失敗だったことがやっとわかる。WEBのトップページは企業のイメージカラーの影響が強すぎるし、こういった考察には数をかせぐ必要があるので、解析ロボットをつくって、ネットワーク上に放つ必要がある。手作業ではとてもじゃないがやってられない。
例えば、「WEBのトップページは企業のイメージカラーの影響が強すぎる」というのは
- Kodakアメリカの黄色
- FUJIFILMアメリカの緑
- Xeroxアメリカの赤
- Canonアメリカの青
ところで、Canonに関しては日本版を見るにイメージカラーは赤のような気がするが、アメリカ版では明らかに青をイメージカラーとしている。これは、Xeroxとの兼ね合いだろうか?
 さて、今回の考察はやり方を間違えたので話が発散してしまった。要反省だ。
 
